『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』は明日発売

謎解き方面をあまり強調すると、ミステリ色の強い作品なのかと誤解されるかもしれないので、念のため補足しておきます。

本書『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』は、作者の言葉によれば、「〝黄金期〟のSF小説と〝黄金期〟の推理小説を合体させてみたいという強い衝動から生まれた」作品です。

しかし、アダム・ロバーツは基本的には奇想SF作家であり、本書も殺人ミステリを全面に押し出しているとはいえ、その裏にある重要なテーマは超光速テクノロジー(FTL)と”シャンパン超新星”と呼ばれる謎の天文現象です。

そうしたSF的テーマが三つの殺人事件にどうからむのか、ぜひ読んで確かめてください。

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読者への挑戦状

昨日のエントリで、なぜ「ミスリーディング」などという話が出てくるのかというと、この作品、冒頭に謎の語り手からの「読者への挑戦状」があるからです。しかも、三つの殺人事件の犯人はそこで明かされています。

ちょっと引用しますと――

「わたしは読者のみなさんに対して、最初からフェアに勝負を仕掛けるつもりです。さもなければ真のワトスンとは言えません」

「ミステリのひとつは監獄の物語です。ひとつは通常の犯人探し《フーダニット》。ひとつは密室ミステリ」

「みなさんの課題は、これらの物語を読み、数々の謎を解いて殺人者を特定することです。すでにわたしが答を明かしてしまったにもかかわらず、その答はみなさんを驚かせるでしょう。それぞれの事件の真相が驚くほどのことではなかったとしたら、そのときはわたしの負けになります」

というわけで、この挑戦に応じたい方は24日に書店へ走りましょう。

ただし、アダム・ロバーツというのは、ほんとうに一筋縄ではいかない作家ですから、こうした紹介から想像される物語と実際に読んだ印象とがまったくちがっていたとしても、広い心で受け止めていただきたいと思います。

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『ジャック・グラス伝』の表紙

さて、今回『ジャック・グラス伝』の表紙を飾るのは、猫将軍さんの手になる美麗イラスト。ほんとうにきれいですね。タイトルや訳者の名前がじゃまなくらい。

ただ、スコルジーほど極端ではないにせよ、本書の作者のアダム・ロバーツもあまりキャラクターの外見をこまかく描写する人ではないので、この表紙の人物(おそらくジャック・グラス)はあくまでもイメージとして考えてください。ミスリーディングだ! という苦情は受け付けません。

もうひとりの主役である、殺人ミステリマニアの令嬢ダイアナのほうも、年齢が15歳だというだけで、あとは美人だということくらいしかわかりませんし……

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『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』

24日に刊行される『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』の見本が届きました。

ここだけの話ですが、本書は傑作ぞろいの《新☆ハヤカワ・SF・シリーズ》第3期の中でも、もっとも大きな期待をかけられていている作品です。

その証拠に、『SFが読みたい 2017年版』の早川書房の刊行予定の中で、ウルフとプリーストの作品にはさまれて紹介されるはずの本書は、きれいさっぱりスルーされていました。いわば隠し球の中の隠し球というわけです。

ほんとうに隠してどうするんだと思わないでもないですが、なにしろ作者のアダム・ロバーツは本書が初めての邦訳。日本の読者にはまったくなじみがない作家なので、むりもない、の、かも。

とはいえ、英国SF協会賞の受賞作ということでなにげなく原書を読んで以来、早川書房の編集者にこれはやりましょうやりましょうやらなければいけませんと言い続け、3年越しでようやく邦訳刊行まで漕ぎつけただけに、訳者としては、こうして本になっているのを見るだけで感涙にむせばずにはいられません。

物好きな編集者がいてほんとうによかった……

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星雲賞2017

そういえば星雲賞も発表になっていました。

日本SFファングループ連合会議のサイトはこちら

海外長編部門の『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』 は予想どおりでしたね。

今年は受賞者の方々をお祝いするために、どんぶらこんにも参加する予定です。

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ヒューゴー賞2017

LOCUSのサイトから小説部門のみ引用します。
ジェミシンは新しい三部作で二年連続の受賞。アンダースは二冠ならず。

Best Novel (2,078 nominating ballots)

WINNER: The Obelisk Gate, N.K. Jemisin (Orbit US; Orbit UK)

Best Novella (1,410)

WINNER: Every Heart a Doorway, Seanan McGuire (Tor.com Publishing)

Best Novelette (1,097)

WINNER: “The Tomato Thief”, Ursula Vernon (Apex 1/5/16)

  • “The Art of Space Travel”, Nina Allan (Tor.com 7/27/16)
  • “Touring with the Alien”, Carolyn Ives Gilman (Clarkesworld 4/16)
  • Alien Stripper Boned from Behind by the T-Rex, Stix Hiscock (self-published)
  • The Jewel and Her Lapidary, Fran Wilde (Tor.com Publishing)
  • “You’ll Surely Drown Here If You Stay”, Alyssa Wong (Uncanny 5-6/16)

Best Short Story (1,275)

WINNER: “Seasons of Glass and Iron”, Amal El-Mohtar (The Starlit Wood)

  • “Our Talons Can Crush Galaxies”, Brooke Bolander (Uncanny 11-12/16)
  • “The City Born Great”, N.K. Jemisin (Tor.com 9/28/16)
  • “That Game We Played During the War, Carrie Vaughn (Tor.com 3/16/16)
  • “A Fist of Permutations in Lightning and Wildflowers”, Alyssa Wong (Tor.com3/2/16)
  • “An Unimaginable Light”, John C. Wright (God, Robot)

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『レッドスーツ』文庫版、電子化

先日文庫化されたスコルジーの『レッドスーツ』。
電子版がようやく購入可能となりました。

どういうわけか単行本のほうの電子版もまだ販売が続いているので、これから購入されるかたは、おまちがいなく。こちらのほうが安くて(微妙に)修正も入っています。

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『終わりなき戦火』スコルジー家到着

どうやらスコルジー家に到着したようで、作者のサイトで報告が出ています。

コメント欄を見ると、例によって日本語タイトルの解釈の件以外に、今回の前嶋重機さんの表紙が大絶賛されていますね。PCの壁紙にしたいとか。ポスターにして飾りたいとか。

たしか日本国内でもシリーズ史上最高という声がありましたので、このあたりの感覚は洋の東西を問わないのかなと思います。

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『レッドスーツ』文庫版

ジョン・スコルジーがヒューゴー賞とローカス賞のダブルクラウンに輝いた、ユーモアSFの傑作。文庫版で再登場です。

解説は音楽評論家でもあり重度のトレッキーでもある丸屋九兵衛さん

発売は7月6日。もう少しだけお待ちください。

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ネビュラ賞2016

小説部門のみ、LOCUSのサイトから転載。

出版当時から話題になっていたアンダースの長篇が受賞。
某社で「ウニ」と呼ばれていたYoon Ha Leeの作品は邦訳されるかな?

Novel

Novella

Novelette

Short Story

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