« 〈フラッシュフォワード〉地上波放映! | トップページ | 〈老人と宇宙〉シリーズ背丈統一化 »

ギブアップ組

『ドクター・ラット』の感想を探してネットをさまよっていたら、SFマガジンの連載でもおなじみの池澤春菜さんが39ページでギブアップしたというつぶやきを見かけました。ニワトリの直後ですね。

正直、この作品を訳していたときはずっと鬱々とした状態で、もう光のある世界へはもどれないんじゃないかという気持ちになったりもしましたので、気持ちは痛いほどよくわかります。この先もさらに胸の苦しくなるエピソードがつづくだけに、ギブアップは正解かもしれません。刊行のタイミングも最悪でしたし。

訳者として救われたというか、生き返ったような気がしたのは、83ページからの皇帝鷲のエピソードを訳したあたりからでした。締切を大幅に破りながらもなんとか最後まで訳せたのは、これと、そのあとのクジラのエピソードのおかげだったんじゃないかと思います(もちろん、安易な救いが待っているとかそういう話ではありません)。

コッツウィンクルがどこまで計算してこの作品を書きあげたのかはわかりませんが、天然であれ計算であれ、おそるべきストーリーテラーだということはたしかでしょう。


ドクター・ラット (ストレンジ・フィクション)
「ドクター・ラット (ストレンジ・フィクション)」
 [単行本]
 著者:ウィリアム・コッツウィンクル
 出版:河出書房新社
 発売日:2011-03-16

|

« 〈フラッシュフォワード〉地上波放映! | トップページ | 〈老人と宇宙〉シリーズ背丈統一化 »