千葉翻訳ミステリー読書会

課題書が『ジャック・グラス伝』ということで、少しでも宣伝になればと出かけてきました。ミステリ系読書会は初参加です。

SF者がミステリ者に取り囲まれるという完全アウェイの状況で、参加するまでは少しビビっていましたが、みなさんたいへん心優しい方々だったので、とても楽しくお話を聞くことができました。もうちょっと叩かれるのを覚悟していたんですが。

ただ、「翻訳者が作品のいちばんの理解者」という幻想を抱いている人がいたとしたら、ちょっとがっかりさせてしまったかも。申し訳ないです。

帰りの横須賀線(乗車時間が長い)で、読書会第二ラウンドみたいになったのも楽しかった。保土ケ谷、戸塚、武蔵小杉と、個人的になじみのある土地にお住まいの方々がたまたま集まっていたので、箱根駅伝の話まで(笑)。

幹事と参加者のみなさまにはほんとうに感謝です。わたしの訳書が課題書になるような奇跡がまたあったら、ぜひ参加させていただきたいと思いました。

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『ジャック・グラス伝』読書会

まえのエントリを書いていて思い出しましたが、翻訳ミステリ大賞シンジケートのサイトで紹介されていた第15回千葉読書会では、なんとこの『ジャック・グラス伝』が取りあげられるそうです。

どんぶらこん〉で水鏡子さんもおっしゃっていたんですが、ミステリ作家の書いたSFは広く読者を集めても、SF作家の書いたミステリはあまり売れない。SFファンは抵抗なくミステリも読むんですが、ふつうのミステリファンはSFというだけで敬遠する傾向があるようです。

というわけで(しかも本が高いし)、せっかくの読書会も参加者が集まるのかと心配になってしまいますね。いっそ偽名で潜入したいところ。

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『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』書評5

SFマガジン12月号(特集はSF映画総解説PART2)で、冬木糸一さんが一ページ使って紹介してくださっています。大絶賛ですね。

この「一抹の切なさを抱えつつも物語は幕を閉じる」の“切なさ”の部分が問題で、やはりアメリカ作家でも日本作家でもないなあとしみじみ思います。小説推理11月号で森下一仁さんが「鬼の目にも涙」と書いておられる部分ですね。〈カリオストロの城〉なんて言った人もどこかにいましたが、ルパンはどっち。

本書を端緒として著者作品の翻訳が続くことを願う」というのは翻訳者もまったく同感ですが、いちばん読みやすい作品でこれなので・・・。本書の刊行当時、作者ロバーツは妻から「今度の作品はとても読みやすくていいわ!」と言われて、「読みやすい本を求める人はそもそもぼくの本を読まないよ」とこたえたとか。

あれこれ感想を見ていると、ダイアナさんのキャラに関しても好き嫌いが分かれているようですが、ダ・ヴィンチ11月号では、池澤春菜さんが「アニメ化の際はダイアナ役はぜひわたくしめに!!」とのこと。まあ、世の中なにが起こるかわかりません。

本の雑誌11月号(水鏡子さんの書庫が!)にも大森望さんによる絶賛書評が。しかし「殊能将之や法月綸太郎を愛する本格好きのSFファン」て、日本中探しても数十人なのでは・・・。

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『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』書評4

大野万紀さんの「内輪」で、とりあげていただきました。

ほかに、「小説推理11月号」で森下一仁さんにも紹介していただいたようなんですが(SF大会での宣伝が役に立った?)、近所の本屋では現物を発見できず。三省堂にすらないのはなぜ。

「ミステリマガジン11月号」(幻想と怪奇特集!)にも、大森望さんの書評が1ページどーんと。大森さんを驚かせることができたら本望ですね・・・。本の雑誌の次号でも紹介していただいているようで、楽しみです。

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『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』書評3

〈翻訳ミステリー大賞シンジケート〉のサイトで、書評七福神の八月度ベストが発表され、千街晶之さんが『ジャック・グラス伝』を選んでくださいました。ありがたいことです。

SFとしての世界観がミステリとしてのひねくれた謎解きと強固に結びついた、遊び心満点の快作だ

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『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』書評2

WEB本の雑誌【今週はこれを読め! SF編】で、牧眞司さんが紹介してくださいました。

「ジャック・グラスっていったいどんな人間なのか」と書かれていますが、わたしもラスト近くのびっくりな展開で、さっぱりわからなくなりました。

そのへんをはっきりさせるためにも続編が必要だと思うんですが、どうも作者にはそういう気はないようです。まあイギリス作家だと思うしか。

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The Real-town Murders

アダム・ロバーツの最新刊が発売になっています。

『ジャック・グラス伝』のあとがきで書いた、「ヒッチコックが〈北北西に進路を取れ〉で映像化したかったけれど断念した場面」にインスパイアされたという作品。

どういう場面かというと、「製造ラインから出てきたばかりの自動車のドアをあけたら死体がころがり出てくる」というショッキングな展開。ヒッチコックも脚本家もこの場面をうまく映画に組み込むことができず、断念したとか。

いまはこういうのもネットで調べがつくのがありがたいところです。

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『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』書評1

冬木糸一さんのブログで紹介されました。

大絶賛ですね。たしかにダイアナはかわいいと思いますが。

そういえば、ドンブラコンLLでお会いした池澤春菜さんは、アニメ化されたらダイアナの声を当てたいとおっしゃっていました。なるほどぴったりかも。

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『ジャック・グラス伝』訳者あとがき

noteにある早川書房のサイトで、訳者あとがきが公開されました。

お近くの書店ではなかなか現物が確認できないかもしれませんので、どんな作品なのか、もうちょっとくわしく知りたいという方はどうぞ。あらすじだけでなく、原作者のプロフィールや作品リストなどもあります。

それでは、機会があったら週末の静岡でお会いしましょう。

担当編集者に命令されたので書いておきますが、本があればいつでもサインは受け付けますよ(棒読み)。

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『ジャック・グラス伝』はちゃんとSF

『ジャック・グラス伝』を読んでいると、突拍子もない大ネタやトリックに目を奪われがちですが、細部はきちんとSFしています。たとえば重力の扱いです。

第二部以降の主役のひとりである、15歳の富豪令嬢で殺人ミステリが大好きなダイアナさん。彼女はふだんは宇宙空間にある大邸宅で暮らしていますが、そこには安易な“重力発生装置”などというものは存在しません。従って、遠心機を使った訓練を日々おこなって体を慣らしておく必要があるのですが、若くて愚かなのでもちろんそんなものはサボっています。

そのため、16歳の誕生パーティのために地球の別荘地へおりたときには、1Gの重力のせいで、歩行器をつけなければ歩くこともできず、常に息も絶え絶えというありさま。

さらに、殺人現場となった倉庫の中ではこんなやりとりが――

「これを見て」ダイアナは興奮して言いながら、つま先で床にカギ括弧を描いた。「これがなんだか知ってる?」
「床ですが、お嬢さま?」
「ほこりよ! 読んだことがあるわ――こまかな粒子状の物質。ふつうは空中にただ浮かんでいるけど、ここみたいに重力があると、下へ落ちて……堆積するの」

まるで新たな物理法則でも発見したかのように解説し、得意満面で推理を披露するわけですが、このあと彼女がどんな恥をかくかは読んでのお楽しみ。

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