『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』書評3

〈翻訳ミステリー大賞シンジケート〉のサイトで、書評七福神の八月度ベストが発表され、千街晶之さんが『ジャック・グラス伝』を選んでくださいました。ありがたいことです。

SFとしての世界観がミステリとしてのひねくれた謎解きと強固に結びついた、遊び心満点の快作だ

|

『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』書評2

WEB本の雑誌【今週はこれを読め! SF編】で、牧眞司さんが紹介してくださいました。

「ジャック・グラスっていったいどんな人間なのか」と書かれていますが、わたしもラスト近くのびっくりな展開で、さっぱりわからなくなりました。

そのへんをはっきりさせるためにも続編が必要だと思うんですが、どうも作者にはそういう気はないようです。まあイギリス作家だと思うしか。

|

『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』書評1

冬木糸一さんのブログで紹介されました。

大絶賛ですね。たしかにダイアナはかわいいと思いますが。

そういえば、ドンブラコンLLでお会いした池澤春菜さんは、アニメ化されたらダイアナの声を当てたいとおっしゃっていました。なるほどぴったりかも。

|

『ジャック・グラス伝』訳者あとがき

noteにある早川書房のサイトで、訳者あとがきが公開されました。

お近くの書店ではなかなか現物が確認できないかもしれませんので、どんな作品なのか、もうちょっとくわしく知りたいという方はどうぞ。あらすじだけでなく、原作者のプロフィールや作品リストなどもあります。

それでは、機会があったら週末の静岡でお会いしましょう。

担当編集者に命令されたので書いておきますが、本があればいつでもサインは受け付けますよ(棒読み)。

|

『ジャック・グラス伝』はちゃんとSF

『ジャック・グラス伝』を読んでいると、突拍子もない大ネタやトリックに目を奪われがちですが、細部はきちんとSFしています。たとえば重力の扱いです。

第二部以降の主役のひとりである、15歳の富豪令嬢で殺人ミステリが大好きなダイアナさん。彼女はふだんは宇宙空間にある大邸宅で暮らしていますが、そこには安易な“重力発生装置”などというものは存在しません。従って、遠心機を使った訓練を日々おこなって体を慣らしておく必要があるのですが、若くて愚かなのでもちろんそんなものはサボっています。

そのため、16歳の誕生パーティのために地球の別荘地へおりたときには、1Gの重力のせいで、歩行器をつけなければ歩くこともできず、常に息も絶え絶えというありさま。

さらに、殺人現場となった倉庫の中ではこんなやりとりが――

「これを見て」ダイアナは興奮して言いながら、つま先で床にカギ括弧を描いた。「これがなんだか知ってる?」
「床ですが、お嬢さま?」
「ほこりよ! 読んだことがあるわ――こまかな粒子状の物質。ふつうは空中にただ浮かんでいるけど、ここみたいに重力があると、下へ落ちて……堆積するの」

まるで新たな物理法則でも発見したかのように解説し、得意満面で推理を披露するわけですが、このあと彼女がどんな恥をかくかは読んでのお楽しみ。

|

『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』kindle版

amazonでもう予約が始まっていました。
kindle版の発売は8月31日になったようです。

書籍版とのタイムラグは短いほうですが、SF大会には間に合いませんね……。

|

『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』は今日発売

ようやく発売日になりました。

慧眼な読者から指摘があるかもしれないので、恥を忍んで書いてしまいますが、実は邦訳版を読んだだけではわからないミスをひとつしてしまいました。

第二部で殺人ミステリ好きの令嬢が古典作品の作家の名前を羅列するシーン。そこにRajah Nimmiという人が混じっていますが、これはどうやら『量子怪盗』のハンヌ・ライアニエミ(Hannu Rajaniemi)のことを指しているようです。スペルとかいろいろおかしいのは、粗忽な令嬢が作家の名前を正しくおぼえていないせいですね。

本書がSFマガジンの〈SFスキャナー〉で紹介されたときに、鳴庭真人さんがちゃんと指摘されていたのですが、粗忽な訳者はころっと忘れていました。

というわけで、ここは「ラージャ・ニンミ」ではなく「ライア・ニンミ」と脳内で変換して読んでいただきたいと思います。

なお、じきに出る電子版のほうでは修正されているはずです。

|

『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』は明日発売

謎解き方面をあまり強調すると、ミステリ色の強い作品なのかと誤解されるかもしれないので、念のため補足しておきます。

本書『ジャック・グラス伝:宇宙的殺人者』は、作者の言葉によれば、「〝黄金期〟のSF小説と〝黄金期〟の推理小説を合体させてみたいという強い衝動から生まれた」作品です。

しかし、アダム・ロバーツは基本的には奇想SF作家であり、本書も殺人ミステリを全面に押し出しているとはいえ、その裏にある重要なテーマは超光速テクノロジー(FTL)と”シャンパン超新星”と呼ばれる謎の天文現象です。

そうしたSF的テーマが三つの殺人事件にどうからむのか、ぜひ読んで確かめてください。

|

読者への挑戦状

昨日のエントリで、なぜ「ミスリーディング」などという話が出てくるのかというと、この作品、冒頭に謎の語り手からの「読者への挑戦状」があるからです。しかも、三つの殺人事件の犯人はそこで明かされています。

ちょっと引用しますと――

「わたしは読者のみなさんに対して、最初からフェアに勝負を仕掛けるつもりです。さもなければ真のワトスンとは言えません」

「ミステリのひとつは監獄の物語です。ひとつは通常の犯人探し《フーダニット》。ひとつは密室ミステリ」

「みなさんの課題は、これらの物語を読み、数々の謎を解いて殺人者を特定することです。すでにわたしが答を明かしてしまったにもかかわらず、その答はみなさんを驚かせるでしょう。それぞれの事件の真相が驚くほどのことではなかったとしたら、そのときはわたしの負けになります」

というわけで、この挑戦に応じたい方は24日に書店へ走りましょう。

ただし、アダム・ロバーツというのは、ほんとうに一筋縄ではいかない作家ですから、こうした紹介から想像される物語と実際に読んだ印象とがまったくちがっていたとしても、広い心で受け止めていただきたいと思います。

|

『ジャック・グラス伝』の表紙

さて、今回『ジャック・グラス伝』の表紙を飾るのは、猫将軍さんの手になる美麗イラスト。ほんとうにきれいですね。タイトルや訳者の名前がじゃまなくらい。

ただ、スコルジーほど極端ではないにせよ、本書の作者のアダム・ロバーツもあまりキャラクターの外見をこまかく描写する人ではないので、この表紙の人物(おそらくジャック・グラス)はあくまでもイメージとして考えてください。ミスリーディングだ! という苦情は受け付けません。

もうひとりの主役である、殺人ミステリマニアの令嬢ダイアナのほうも、年齢が15歳だというだけで、あとは美人だということくらいしかわかりませんし……

|

より以前の記事一覧